こんにちは。金融コンサルタントのjunです。
今回は、知人から紹介を受けたクライアントが営む保険代理店からの相談について情報発信します。
小規模代理店の悩み
クライアントが営む保険代理店も事業開始から5年以上がたち保有契約も増えてきたことから、次の一歩として従業員を新たに雇用し、事業を拡大させる段階に入ったようです。
保険代理店業に限らずですが、業務を拡大させる際に障壁となりやすいのが、未経験社員の雇用です。
業界経験者を計画的に雇用できればそれに越したことはありませんが、知名度のないスタートアップ企業でなおかつ保険代理店業となると、経験者にはそれなりの給与を支払う必要が出てきます。
保険の場合、生命保険であれば初年度は保険料の60%前後、損害保険であれば15%前後が募集手数料として保険会社から募集人へ支払われます。
よって、独り立ちしている(ある程度保有契約がある)経験者を雇用するためには、今以上の収入を提示するか収入以外のメリットを提示する必要が出てきます。
小規模代理店の場合、経験者を雇用する人件費を捻出することが困難なため、募集人を増やすことが事実上難しくなります。
人が増やせないといつまでたっても店主が募集活動から脱せず、事業拡大はより困難となります。
それに、生命保険も損害保険も、代理店の年間新規契約件数及び年間残保険料と保有証券数によって手数料率が変わってきます。
損害保険の場合は顕著で、小規模代理店ですと10%ほど。大規模代理店になると20%ほどと、まったく同じ火災保険を販売しても募集手数料が倍違います。
手数料収入もさることながら、1人代理店の場合は店主の募集活動が唯一の収入源のため、病気や事故などで活動停止に陥ると事業活動が停止してしまいます。
保険代理店の場合、初年度手数料のほかに次年度手数料が数年から数十年にわたり保険会社から支払われるため、すぐに生活に困窮してしまうことはありませんが、初年度手数料が60%前後に対し次年度手数料は10%前後のため、活動停止期間が長期化すると死活問題となってしまいます。
よって、事業を『安定』させるためにも『拡大』させるためにも従業員の増員は欠かせません。
ただ、経験者を雇用することは事実上難しいため、未経験者となるわけですが、店主1人もしくは数名の場合、未経験者を教育するコストと時間が問題となってきます。
そこで、以前ほかの代理店でお手伝いした『未経験社員雇用時』の助成金・給付金について情報提供しました。
助成金と給付金の違い
昨今新型コロナウイルスの影響を受けて事業に甚大な影響を受けている法人や個人事業主に対して『持続化給付金』が支払われていますが、事業者向けの支援事業をチェックすると『助成金』や『給付金』といった文言をよく目にするようになります。
両者の大きな違いはありません。どちらも返済不要で、正しく申請すれば受給できます。助成金は厚生労働省の支援事業でよく見かけます。給付金は国や市町村が実施する支援事業でよく見かけます。
『補助金』もよく見かける文言ですが、補助金は予算があらかじめ決められているケースが多く、申請しても当初予算を超えると受給できない場合があります。
『融資』も今回の新型コロナウイルスでよく見かけるようになりましたが、融資は必ず返済が必要となります。
業界未経験者を雇用する際に申請可能な助成金
それでは本題です。
小規模事業者が業界未経験者を雇用する際に障壁となるのが『教育』にかかる『時間的コスト』です。
1人もしくは数名で事業運営している中で、自身の業務を停止し教育すること自体が困難となります。
保険代理店の場合、保険会社へアウトソーシングすることも可能です。
損害保険会社の場合、『研修生』として対象損害保険会社へ所属させて、1年後などのあらかじめ決めた期間終了後に当該保険代理店が再度雇用する方法があります。
生命保険会社には損害保険会社のような研修生制度はありませんが、ソリシター(保険会社の代理店営業社員)が個別に商品研修をしてくれます。
ただ、1保険会社の商品知識を習得させることは可能ですが、クライアントの保険代理店のように複数の保険会社を取り扱ている場合(乗り合い代理店)保険会社の垣根を超えた横断的な保険商品知識が必要となります。
それに、以前のようにただ保険商品を案内すればよい時代でもありません。ただ保険に入るだけなら比較サイトを利用したり、ググったりする方がよっぽとコスパの良い保険を契約できます。
よって、顧客から信頼を得て保険契約以上の価値を提供しなければ永続的に保険募集人として活動していくことは困難となってしまいます。
そこで、厚生労働省の『事業主の方のための雇用関係助成金』を活用することを提案しました。
このブログを書いている2020年7月時点では、8つの助成事業が利用可能です。
今回のクライアントは、業界未経験の方をまずは雇用期間を有期として雇用し、半年から1年かけて教育し、無期雇用の正社員化を実現させたいとの要望でした。
よって、今回は『人材開発支援助成金』と『キャリアアップ助成金』を提案し、運営のお手伝いをさせていただくことにありました。
次回は『人材開発支援助成金』と『キャリアアップ助成金』の運営のポイントについて情報発信していきます。
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